忍者ブログ

GameDesign 西部劇TRPG開発日誌

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

マカロニ・ウェスタン傑作映画DVDコレクション【創刊号】2016年4/24号[分冊百科]

 荒野の用心棒と解説。


公式サイト


PR

[TRPG]問題解決がゲームではない理由


 個人的メモです。
 フォン・ノイマンが
 「チェスはゲームじゃありませんよ。チェスというのは、明確に定義された計算の一形式なんです。実際に答えを出すことはできないかもしれないが、理論的には正しい「手」が存在するはずです。」と言ったという。
 つまり、「チェスはゲームではない、答えの分からないパズルを二人で解いているのだ」ということ。
 このようにチェスを協力ゲームとして捉え直すことが出来る。
 ナッシュは協力ゲームについて、協力行動の分析は, 適当な非協力ゲームのモデルによるべきであるという。これをナッシュプログラムと呼ぶ。
 こうした視点からは、いわゆる勝敗を指すゲーム性は消滅する。
 パズルを解く競争(アゴン)ではなく協力や名勝負の棋譜の模倣(ミミクリ)に還元されてしまう。


 チェスの棋譜は展開を記録したストーリー。
 問題解決がTRPGの本質ならば、ごく簡単なマップとNPCでプレイできるはず。
 そういう立場のTRPGは単体では遊べないと言われる。
 これは本質ではないものを本質に据えているから。

 GMはPCの行く末に興味を持ってもらうことが重要。
 PCが危険なトラブルを避けて関わらないことが一方的に悪いわけではない。
 単なるドタバタ劇あるいは日常であっても興味を惹けば成立する。
 問題解決ならば解決できるように配置。  解決に及ばないシナリオを用意しない。
 観客がいる演劇ではないので、徒労に終わることを強制しない。
  吟遊詩人マスターが嫌われるのはPCの有効性がないため。
 同じくPCに有効性がない無力からの悲劇、無意味な選択の強制はできない。
 観客相手ではないので強制しにくい。
 
 

 TRPGの場合、リプレイが棋譜に似ているだろう。
 棋譜に妙手や疑問手があるようにリプレイは心を動かす。
 答えの分からないパズルを解くように解法の望ましいシークエンスを全体として得る。

 いま、ここの僕とあなたのプレイするTRPGである理由は何だろうか。
 そして、我々のPCが我々の解釈に委ねられている理由はなんであろうか。
 ロールプレイはそのPCの立場になって憶測しなお(Second-guessing 新井潔による)されたもの。

 フォン・ノイマンはさらにこう言う。
 「それに対して本当のゲームはというと、全然違います。現実の生活は、はったりやちょっとしたごまかしの駆け引きやこちらの動きを相手はどう読んでいるのだろうかと考えることからなっています。そして、それこそが私の理論で言うゲームなのです」

 つまり本当のゲームは現実の生活であって、ゲームは単純化されたモデルだと言うこと。
 そして「相手はどう読んでいるのだろうかと考える」がゲームだという。
 ということはロールプレイのSecond-guessingはそれ自体がゲームの要素を持っている。
 ここでTRPGでの問題解決がゲームではないことは明らかでしょう。
 シナリオ上に用意された障害はロールプレイという枠組みを豊かにするものに過ぎない。
 問題解決はときにただ一つの正解を要求する解をPLに求める。
 これはPCのロールプレイという枠組みを外れてしまうことが多々ある。
 別のパズルを解く課題を投げ込むもの。

 TRPGではパズルの解に達するためにはロールプレイ上の解を求めることが大事。
 ロールプレイ上の解とは物語的な望ましいシークエンスだ。
 そうすることによってGMとPLのゲームが成立する。
 GMはそういう意味で圧倒的制圧をPCに及ぼせない。
 PLのPCとしてのロールプレイを楽しむことが出来る。
 これを自覚したGMへの信頼がPLの楽しみの根拠となる。
 こうしてロールプレイというワン・クッションが笑顔を介して調和する。
 ゆえに遊戯として力の拮抗した遊動関係、シーソー遊びを形作っている。

 つまり意志決定や問題解決ではなく、それを包含した、関係とその変化を解釈すること。
 この現実の営みと同じことを単純なモデルとしたものがRPGのゲーム性です。
 世界設定がないと遊べないのはPLがPCの立場を憶測し直すことが出来ないからです。
 少なくとも僕はそう考えます。

[つれづれ]サイコロでシャッフルしてしまう方法


 サイコロで完全にランダムなシャッフルをしてしまう方法です。
 フィッシャー =イェーツ・シャッフルというアルゴリズムがあります。確率的に正しい、そして計算量が最小の手順です。
 ちょっと前に大変話題になりました。

 アナログゲームでは用はないかも知れませんが、多面体のサイコロでシャッフルしてしまう方法です。

 フィッシャー =イェーツ・シャッフルのWikiはこちら
 このうちのダステンフェルドの手法のアルゴリズムのイメージは、こちらで目視できます。目視できるのは非常に参考になります。

 サイコロで行う場合、単純に、
 12面体、10面体、8面体、6面体、4面体サイコロを用いて、6までの数をシャッフルするものとします。

 考え方としては、まず、6の階乗、6×5×4×3×2×1=720通りの順列がある。
 12面体、10面体、8面体、6面体、4面体サイコロを振り、それぞれの出目を1/2(切り上げ)とすると、6、5、4、3、2通りとして、720通りの乱数を得られる。
 サイコロの種類からすると、6までの数をシャッフルするのならば、振り直しなしで、一度に12面体、10面体、8面体、6面体、4面体サイコロを振ると順列を得られると言えます。

 振り直しなしなら、6までのシャッフルが限界です。7通りの乱数が出せません。カードがなくてカード的処理が必要になったとき、いざという手として載せておきます。

 カードは完全にシャッフルするのは難しいですが、かなり素早く順列を得られる、いい乱数発生器です。

[SYS]何故1/3の確率なのか

本文を読むにはこちらからパスワードを入力してください。

[つれづれ]一様乱数から正規乱数へ。xlsxファイル

  [つれづれ]正規乱数

 ボックス=ミュラー法とモンテカルロ法のxlsxファイルです。
 アナログゲームには利用が難しいと思います。
 どちらの方法もとらず、現在のデザインは「どどんとふ」でテストプレイできるように工夫してデザインしてあります。なにかの参考になれば。

 ダウンロード xlsxファイル、関数とヒストグラム
 
 下のリンクのように
 エクセル内蔵の関数を使う方法(NORMINVやNORMSINV)は

 エクセルだけでしか通用しないので、
 上のファイルはプログラミングコードの参考になると思います。

 正規乱数・正規分布する乱数を発生させる−NORMINV関数・RAND関数_Excel(エクセル)の関数・数式の使い方-数学

 プログラミング言語によってエクセルとは数学関数の意味が違いますので注意してください。

 ボックス=ミュラー法のwikiです。


[つれづれ]達成値の比較ルールの確率

 達成値の比較ルールの確率の考察です。
 単純な話にするためにファイティング・ファンタジーの技術点+2D6のような、
 能力値+2D6を考えます。

 一方が12、もう一方が8の能力値で、互いに2D6して、達成値が高い方の成功とします。
 つまり、8の能力値側は2D6で5ポイント差を付ければいいのです。
 同値の出目の場合、能力値12の高い方の勝利とします。

 数え上げてみます。

ダウンロードPDF

 8の能力値側が、勝つ確率は9.722%です。
 12の能力値側が、勝つ確率は90.278%です。


達成値差成功率グラフ


2D6でのグラフ


達成値差 成功率%
11 100
10 99.9
9 99.6
8 98.8
7 97.3
6 94.6
5 90.3
4 84.1
3 76.1
2 66.4
1 55.6
0 44.4
-1 33.6
-2 23.9
-3 15.9
-4 9.7
-5 5.4
-6 2.7
-7 1.2
-8 0.4
-9 0.1
-10 0

 微妙な能力差は大きく運に反映されるが、差がつきすぎると大して変わらない確率デザインです。

xlsxファイルダウンロード

 こういう系列のデザインは、僕にとって体感確率が狂っているので非常にげんなりします。
 ロールの回数が一回増える場合、誇張が激しくなります。
 能力値が拮抗していれば拮抗した結果になるはずでしょう。何故運で大差がつくのでしょうか。
 失敗率を考えると、1ポイントあたりの比が大きすぎるかと思います。

 私たち人間は色々な試行錯誤の行動で実際に成否を問うギャンブルをしています。
 ですから普段、正規分布に近い確率分布を体験しています。

 ところが、こうしたTRPGのモデルはリニアになっているか、それに近い。
 ですので、ダイスの女神の出現度が高いのだと思います。意外な結果が起こったり、連続するのはそのためです。

 これで「異世界体験シミュレータ」はありえません。
 ポアソン分布に従うような事象(火事とか)にPCはよく遭遇します。
 物語の主人公達であるからこそ、遭遇する事象がたくさんあります。

 架空と現実の違いも分からないで、「異世界シミュレータ」などというわりに、役割演技(ロールプレイ)をキャラクタープレイなどと蔑む。
 普通に、気持ち悪く見えるロールプレイは控えてくださいと言えないのでしょうか。

 演技を勉強するわけではない、単なるゲームでの演技ですよ。
 木戸銭が取れるほど演技に打ち込むのは芸術活動であって、ゲームで披露されるものではありません。


[WESTERN]ヘイトフル・エイト

監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ロバート・リチャードソン
音楽:エンニオ・モリコーネ
美術監督:種田陽平
出演: サミュエル・L・ジャクソン
カート・ラッセル
ジェニファー・ジェイソン・リー
ウォルトン・オギンズ
デミアン・ビチル
ティム・ロス
マイケル・マドセン
ブルース・ダーン
ジェームズ・パークス



 タランティーノと西部劇が好きな方は、必見です。
 ミステリ、謎解き仕立てになっていますが、結末は、タラちゃん節なので、細かい推理はどうでも良いと割り切りましょう。(レッドロックで待ち伏せすればいいとか、ツッコミが入ります。そもそも密室での待ち伏せが疑わしいとか。色々です、色々)
 作中のエピソード語りにまた面白いのが出てきます。

 メアリー・トッドはリンカーン大統領夫人です。
 たぶんこれが日本人には読み取りにくいところかと思います。
 法の正義と西部の正義というテーマがキモです。
 70mmフィルム(ウルトラ・パナビジョン70)の横長のサイズなので、劇場で観ないと損します。迫力が違います。R18(バイオレンス)指定なりに過激でした。


公式サイト






ロールプレイ参考メモ
(ネタバレにならないネタ)
作中のエピソード語り。
遠縁の関係性。
馬の限界。
駅馬車の貸し切り特別便。
家庭料理の味と保存性。
トイレは屋外にある。
コーヒーの味にこだわる。
リンカーン大統領の手紙を信用状のように使う。その他、信用状のような類いの紙切れは色々ある。




 サントラです。↓



アクションドールです。世界で三千体しかないそうです。



[つれづれ]能動・受動の判定、デザイン上の失敗


 個人的メモです。一応、バランス的によくありがちな失敗(かな?)デザインです。
 問題を単純化しておきます。

 例えば、能動側が、50%の確率で、成功し、
 受動側も、50%の確率で、成功するとします。

 そして、能動側が成功しても、受動側が成功したら、能動側は失敗するとします。

能動側・受動側共に成功率50%の場合
能動側 受動側 能動側の判定結果
成功 失敗 成功 25%
成功 成功 失敗 75%
失敗 成功
失敗 失敗


 単純なんですが、やたら能動側が不利になるデザインです。失敗率が跳ね上がります。
 50:75 で、1.5倍です。

 これがもし、

能動側 80%・受動側 20%成功率の場合
能動側 受動側 能動側の判定結果
成功 失敗 成功 64%
成功 成功 失敗 36%
失敗 成功
失敗 失敗


 というケースでは、成功率だけ見ると、デザイン上ありかも、の想定になります。
 ですが、失敗率の跳ね上がり方は大きいです。
 20:36 で、1.8倍です。
 受動側が弱いので、影響も弱い方がいいと思いますが、先の例より大きく出てしまいます。

 計算上、80%の判定を二回していることになります。
 (4/5)×(4/5)=16/25、64%。
 混乱するなら数え上げてしまいましょう。 

能動側80%・受動側20%成功率の場合
能動側 受動側 能動側の判定結果
1 1 成功
1 2 成功
1 3 成功
1 4 成功
1 5 失敗
2 1 成功
2 2 成功
2 3 成功
2 4 成功
2 5 失敗
3 1 成功
3 2 成功
3 3 成功
3 4 成功
3 5 失敗
4 1 成功
4 2 成功
4 3 成功
4 4 成功
4 5 失敗
5 1 失敗
5 2 失敗
5 3 失敗
5 4 失敗
5 5 失敗
成功16(失敗9)/全体25


 このルールだと能動側が過小評価されているか、受動側が過大評価されているか、そのどちらもなのか、首をひねってしまいました。
 失敗率の比の大きさで考えるというのは、こちらの記事を参考にしました。


「不思議のダンジョン」の絶妙なゲームバランスは、たった一枚のエクセルから生み出されている!? スパイク・チュンソフト中村光一氏と長畑成一郎氏が語るゲームの「編集」 _ 電ファミニコゲーマー企画記事

 裏を返せば、逆転のチャンスの余地を大きくとるデザインと言えます。

 同じような要領で、(99/100)×(99/100)=9801/10000=0.9801、98.01%(失敗率1.99%)
 1:1.99で、失敗率は2倍近くの比になります。
 計算が楽な値で思考実験しました。
 個人的メモでした。以上。