[TRPG]問題発見と解決。TRPGのゲーム性を勘違いしている方へ。
ライト、ついてますか : 問題発見の人間学
ドナルド・C・ゴース, ジェラルド・M・ワインバーグ著 ; 木村泉訳
ジェリー・ワインバーグとその仲間たちの<計算機の人間学>の本。この本は問題発見についての本である。問題は解くより発見する方がずっとむずかしく、ずっと面白い。-実人生で本当にものをいうのはそこなのだ。
「BOOKデータベース」より
[目次]
「BOOKデータベース」より
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- 問題を抱えているのは誰か?
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第1部 何が問題か?
- 1.問題
- 問題は何なのか?
- 問題を抱えているのは誰か?
- キミの問題の本質は何か?
- 2.ピーター・ピジョンホールの陳情書
- 「何がまずいか」をどう決めるか?
- まずいのは何か?
- そのために、何ができるか?
- 3.キミの問題は何か?
- 問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の間の相違だ
- 幻の問題は本物の問題
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第2部 問題は何なのか?
- 4.ビリー・ブライトアイズの入札
- 彼らの解決方法を問題の定義と取り違えるな
- 彼らの問題をあまりやすやすと解いてやると、彼らは本物の問題を解いてもらったとは決して信じない
- 5.ビリーが舌を噛んだ
- 解法を問題の定義と取り違えるなーことにその解法が自分の解法であるときには注意ー
- 6.ビリーふたたび入札者のもとへ
- 問題の正しい定義が得られたかどうかは決してわからないー問題が解けたあとでも
- 結論に飛びついてはいけないが、自分の第一印象は無視するな
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第3部 問題は本当のところ何か?
- 7.終わりのない連鎖
- すべての解答は次の問題の出所
- 問題によっては、それを認識するところが一番難しいということもある
- キミの問題理解をおじゃんにする原因を三つ見つけられないうちは、キミはまだ問題を把握していない
- 8.不適合を見落とす話
- 結論に飛びつくな、だが第一印象を無視するな
- キミの問題定義を外国人や盲人や子どもについて試してみよう またキミ自身が外国人や子どもになってみよう
- 新しい視点は必ず不適合を作り出す
- 9.うまいレベルに着陸する話
- 問題文をどう変えたら、解答を変えることができるだろうか?
- 自分は何を解いているのか?
- 10.意味に気をつけよう
- 問題が言葉の形になったら、それがみんなの頭に入るまで言葉をもて遊んでみよう
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第4部 それは誰の問題か?
- 11.煙が目にしみる
- それは誰の問題か?
- 他人が自分の問題を自分で完全に解けるときに、それを解いてやろうとするな
- もしそれが彼らの問題なら、それを彼らの問題にしてしまえ
- 12.構内は車で一杯
- それは誰の問題か?
- もしある人物が問題に関係があって、しかもその問題を抱えていないなら、何かをやってそれをその人物の問題にしてしまおう
- 変化のために自分を責めてみよう――たとえほんの一瞬でも
- 13.トンネルのかなたのあかり
- それは誰の問題か?
- もし人々の頭の中のライトがついているなら、ちょっと思い出させてやる方が、ごちゃごちゃいうより有効なのだ
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第5部 それはどこからきたか?
- 14.ジャネット・ジャウォルスキー変人と衝突
- この問題はどこからきたか?
- 15.ミスター・マチーチン事態を収拾
- この無作法さはどこからきたか?
- 16.仕事する人いばる人
- その問題はどこからきたか?
- 世界には2種類の人間がいて……
- 17.試験について
- その問題はどこからきたか?
- 誰がこの問題をよこしたか?
- それを私はどうしようというのか?
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第6部 われわれはそれを本当に解きたいか?
- 18.トム・タイヤレスのおもちゃいじり
- ちょっと見たところと違って人々は、くれといったものを出してやるまでは何がほしかったか知らぬものである
- 19.政治には忍耐が肝要
- あとから調べてみれば、本当に問題を解いてほしかった人はそんなにいないものだ
- 20.ある特務
- 私はそれを本当に解きたいか?
- 本当にほしいか考えるひまはないもの、後悔するひまはいくらでもあるもの
- 魚、水を見ず
もし、GMが問題解決の選択肢を示すのが、TRPGならば、PLは、優秀なベイズ理論数学者やゲーム理論学者に任せればよい。
計算速度が上がり、プログラミングを覚えた学生は、どんな問題でも解決できるという幻想を持つそうです。
そんな思い上がりの幻想の世界を肯定してあげるのはTRPGの役目ではありません。
TRPGは人間と人間が行うゲームです。コミュニケーションツールです。
何を問題として、何を解決とするか、そしてその適合が何の問題をはらむか、そのプロセスが肝心です。
学校の授業の問題のように、問題が降り掛かってくるのを、素早く正確に解くのは一種の快楽でしょうが、現実はこの本を読めば全く違うことがわかります。
しかし、何を問題定義(発見して問題の範囲を把握すること。本文中の用語です)とし、どのように問題解決(解決後の不適合をどこまでと範囲を決めるか)とするか。
それが、コミュニケーションの障がいの及ばない、スムーズな本来のTRPG像でしょう。
コミュニケーションの未発達さを使って、ハードルを下げて、失敗しにくいTRPGにしたいのならば、デザイナーがそのようにデザインするのではなく、GMがそのようにできるようにセッティングを示せばいいだけです。僕はそういうセッティングの単一固定したTRPGはすぐ飽きてしまいます。
新しい製品を買わせる仕掛けだとしても、三、四回で失望して、もう買わなくなる。
GMがそのセッティングを外してデザイナー以上の楽しくもない労力を注ぐ必要があるTRPGは、残念に思います。
目標を何々退治という、いわばシングルフォーカス、ルールの記述ばかりを追って無双をしようというシングルレイヤー、問題定義はGM任せで解決方法は選択肢や遊び方を明確にしないといけないというハイコントラスト。失敗しにくいTRPGは、単にそういうセッティングでいいでしょう。
コミュニケーションをしないで済むから時間もかからないし、ルールを読みこめば活躍できます。選択肢が明らかならばジレンマもほとんど問題にしなくていいのです。
もちろん、必要ではないとして描写もほとんどしなくていいし、必要ではないとして想像力を発揮する余地もなくなります。
自閉症スペクトラムを下げるように(どんな人もコミュニケーションの障害は見られる)あわせれば、コミュニケーションが楽です。話題が浅くて、はっきりしていて、狭ければ、いいだけです。悪いことではないですよ。そんなのは当たり前の原理でしょう。わかりやすさから言えば、さぞ、いいことでしょう。
それが毎度のように繰り返されると、楽しいとは僕にはどうも思えないのです。
「わかりやすい」というのは、既成の概念の枠内(閉域)に収まっている、ということだろう。しかし、そうした枠組みですべてが理解できるなどと考えてはなるまい。むしろ、そうした枠組みを開き、突破して「知」を希求するのが、まさに哲学者である。 |
[TRPG]5.TRPGの解釈論性:解説から。(2)
個人的推測ですが、みんな、何を問題定義し、何を問題解決とするかを決められるようなTRPGがやりたいんじゃないかと思います。
僕が本当に楽しかったTRPGのプレイは、成功しにくいコミュニケーションの豊かなプレイでした。
人とする楽しい遊びは、そういうものだから当然だと思いますね。
接待で酒飲むより、美味しい料理を作って楽しい話題で盛り上がる酒盛りのほうが楽しいでしょう。
風俗のねーちゃんと時間制限付きで財布の心配をしながらエッチするより、恋愛関係を結んだ床上手のねーちゃんとしたほうが楽しいでしょう。
難しいコミュニケーションがうまく行けば、楽しい。当たり前でしょう。
コミュニケーションを豊かにするなら、コミュニケーションがうまくいかない状態を考えればいい。
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(↑例えが馬鹿ですみません)
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