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西部劇で西部史との照らし合わせで、難渋するのが、
・実在人物伝
・銃器や電気製品の技術史
・インディアン
・馬の品種
だと思います。
例えば、西部の銃豪、ワイアット・アープでさえも、一冊の研究書があります。
津神久三先生の本です。
銃器に関しては、オールド・ウエスタンでは、SAAを用いていましたが、マカロニウエスタンの影響もあって、単なるプロップではない考証が、「ロンサム・ダブ」あたりのTVドラマから始まりました。何年に発売されたから、何年の新製品という位置づけです。
マカロニウエスタンは考証とは逆に珍奇な「ガンブレラ」や「ミシンガン」という開き直り? でプロップガンの意外さを追求したものもあります。
銃器として、トイガンの世界でのSAAの呼称(シビリアンとか)が定着していることも気を付けたいです。正式な名称はSAAでしょう。それでも、トイガンの世界ではSAA以外の名前でブツを何十年も愛し続けた人がいます。
技術史では、考証は珍しくて、「天国の門」が、筆頭に挙げられます。大変な制作費をかけたにもかかわらず、興行成績は致命的なほど悪かったとされます。当時の文明度は、この作品に見られます。
インディアンに関しては、服飾や文化、迫害の歴史と復権運動といった、複雑な問題があります。とても一冊の書物では語り切れないでしょう。
最後に、馬の品種ですが、西部劇に出てくるのはほとんどがクオーターホースのようですが、品種として成立したのは第二次大戦後です。つまり、西部劇には出てきますが、西部史上には存在していないはずなのです。
これを知らないと、「ジャック・ブル」が単なる馬狂いの衝動を抑えられない主人公と映ると思います。馬の品種の成立はアメリカは非常に遅かったのです。しかし、名も知れぬ馬喰が何代もかけて品種を成立させるに至る執念の時代でした。
こういうことを指摘するのは「西部劇」については粋ではないし、野暮なのですが、「考証」の点からは厳しく否定する方もいます。
そのため、これらは、趣味についての喧嘩や対立の原因になってしまいます。そのため、鬼門といっていいと思います。
なんの作品のどんな考証を支持するかということは、私たちはアメリカ人ではないので、ジャパニーズの考証としたほうがよさそうです。
物理的にガンブレラは成立しませんが、ステッキガンからの着想とすればアリだと思います。
だたし、単純に威力や正確さの超人性が描かれるのは、どうも僕には楽しめなくなります。
西部の実在の英雄がいるとして、それを貶めるほどの超人的能力となると、ついていけません。せめて、実在した英雄たちにはリスペクトして欲しいと思います。
90式戦車を2台貫通すると吹聴されるようなものと、同じ心持ちです。