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GameDesign 西部劇TRPG開発日誌

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[TRPG]ミステリーに自由が必要か?

大丁さんの大丁の小噺から知ったのですが。
http://d.hatena.ne.jp/taitei/20080625/1214401336


卓上RPGを考える
http://www.rpgjapan.com/kagami/2008/06/post-145.html

から、TRPGと現代ファンタジーを愛する男のブログ
http://blog.livedoor.jp/gensoyugi/archives/51428100.html

卓上RPGを考える
http://www.rpgjapan.com/kagami/2008/06/post-146.html

この議論において、言葉の齟齬が大きくてお話になっていないと思いました。

 

 あまりにも、鏡さんの言う「ミステリー」との語彙の齟齬が大きいので、「ミステリーの社会学」より、ミステリー作家によるミステリー作品の成立を並べてみます。

探偵クラブ「誓言」

探偵は天啓や女性の直観、偶然などに頼っては行けない
ギャングや陰謀、殺人光線、幽霊、引き窓、中国人、催眠術、超能力、狂人などの利用には節度を。未知の毒物は不可。
キングス・イングリッシュに敬意を。
手がかりを隠すべからず。

 

ヴァン・ダイン「探偵小説作法二十則

手がかりはすべて明確に提示せよ。
故意に読者を惑わす記述は不可。
恋愛を持ち込むことなかれ。
探偵が犯人であってはならぬ。
偶然、暗号、無動機の自白による解決は不可。
ちゃんとした探偵が登場して問題の解決にあたる。
殺人が必要。他の犯罪では、特に長篇はもたぬ。
水晶占い、読心術、降霊術などによる解決は不可。
探偵は一人に限る。
犯人は主要人物たるべし。
召使が犯人ではいけない。
犯人は一人だけ(共犯者はあっても良い)。
秘密結社やマフィアなど組織を持ちこむなかれ。
殺人方法と推理方法は合理的・科学的たるべし。
真相は常に何らかの形で開示されるべし。
目的から外れた饒舌や雰囲気への陶酔、冗漫な描写はいけない。
プロの犯罪者が犯人であってはならぬ。
犯罪が事故や自殺であってはならぬ。
国際的陰謀や政治的動機などは不可。個人的動機のみ可。
その他無能で非独創的な手法は不可。

1タバコの吸殻による割りだし。
2ニセ降霊術の利用。
3指紋の偽造。
4人形によるアリバイ。
5犬が吠えず。
6双生児や近親者の利用。
7皮下注射器と自白剤。
8踏みこんだあとでの「密室」殺人。
9言葉の連想テスト。
10暗号又は略号の利用。


 

ノックス「探偵小説十戒」

犯人は冒頭から登場すべし。かつ共感できぬ人物たるべし。
超自然的な要因は持ち込むべからず。
二つ以上の秘密の部屋や通路は不可。
未発見の毒物や長い解説の要る装置は不可。
中国人を登場させてはならぬ。
探偵は偶然や不思議な直観の力を借りては行けない。
探偵が犯人であってはならぬ。
手がかりは直ちに公開せよ。
ワトスン役は思ったことを隠してはならぬ。かつ、読者の知能よりわずかに低かるべし。
双生児や犯人のそっくりさんは不可。


 

チャンドラー「九つの命題」

はじめの状況と結末は納得できる理由が必要。
殺人と捜査方法の技術的な誤りは許されない。
登場人物、作品の枠組み、雰囲気は現実的たるべし。
作品の筋は緻密に作られ、かつ物語としての面白さが必要。
作品の構造は単純に。(最後の)説明が誰にもわかるように)
解決は必然的かつ実現可能なものに。
謎解きか暴力的冒険談かどちらかに。
犯人は罰を受けねばならない。
読者に対してはフェアプレイを(データを隠してはならぬ)。 


 

ハル「探偵小説とその十則」

一つのことについて互いに矛盾する記述をしてはならぬ。
決め手となる事実を最後まで隠してはならぬ。
故意に虚偽の陳述や誤解を招く陳述をしてはならぬ。
医学、法律などの誤りは許されない。
読者に手がかりを与えよ。
筋違いの手がかりは理由があれば良いが、散漫な結末は不可。
人物描写は的確に。できれば犯人は同情さるべき存在に。
文章のうまみやユーモアは必要。恋愛はあっても良い。
結末には意外性が必要。
正当な理由ある場合を除いて、犯人の逮捕又は自白で結ぶこと。 


 このように、ミステリーには作法にスポーツのようなルールがあります。
 鏡さんの言う「自由は」、サッカーで、「自由」にバットを使ってくださいとの暴論に近い。
 ミステリーのような謎解きの解明という競技的なシナリオでは、「自由」は、得点を取る、負けない、勝つ、そういった競技上の「自由」であって、参加するかしないかにも「自由」を与えている点が、大きく齟齬を生んでいる。

>以下引用 

まず、「制約の無い自由なんてそもそもありえない」との見解については、過去にも触れた通り、私も同じ意見です。ただし私は、ルールシステムや世界設定に基づく「制限(制約)」と、シナリオ作成者やゲームマスターの「期待/願望」に基づく「管理」とを、明確に分けて考えています。プレイヤーの発想や決断が「制限」されても「管理」はされない状態が、私の言う「自由」です。この点をご理解の上で「無茶で非現実的なもの」か否かをご判断ください。

>引用ここまで。

 つまり際限のなき「自由」のことではない。「制約」「制限」「管理」と雑多に独自の語彙を振り回していて、混乱させる原因になっていると思う。


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