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ゲームが意志決定論であるとしている話をして、物語性を否定する方には決定的に見落としがある。ウラジーミル・プロップによる構造主義の先駆者の説です。ジャンニ・ロダーリ『ファンタジーの文法』より。
原則1 民話の恒常的で不変の要素は登場人物たちの機能である。この場合それぞれの機能がどんな人物によって、あるいはどんな方法によって為されるか、ということとは関係がない。 |
原則2 魔法民話の中に出てくる機能の数には限度がある。 |
原則3 機能の継起順序は常に同一である。 |
すべての民話にすべての機能があらわれるわけではなく、筋運びで省略、併合、統合がされる。はじまりの機能は途中からという場合もある。抜かした経過を取り戻すために後戻りすることがある。機能にはその反対の場合を含むこともある。 |
プロップのカード |
レッジョ・エミーリアでの ジャンニ・ロダーリのカード |
(1)留守 | |
(2)禁止 | (1)禁止 |
(3)違反 | (2)違反 |
(4)捜索 | |
(5)密告 | |
(6)謀略 | |
(7)黙認 | |
(8)加害(もしくは欠如 | (3)加害(もしくは欠如 |
(9)調停 | |
(10)主人公の同意 | |
(11)主人公の出発 | (4)主人公の出発 |
(5)任務 | |
(6)魔法の授与者との出会い | |
(12)魔法の授与者に試される主人公 | |
(13)主人公の反応 | |
(14)魔法の手段の提供 | |
(7)魔法の贈り物 | |
(15)主人公の移動 | |
(8)敵対者の出現 | |
(9)敵対者の悪魔的能力 | |
(16)主人公と敵対者との抗争 | |
(17)狙われる主人公 | (10)決闘 |
(18)敵対者に対する勝利 | (11)勝利 |
(19)発端の不幸または欠如の解消 | |
(20)主人公の帰還 | (12)帰還 |
(21)追跡される主人公 | |
(22)主人公の救出 | |
(23)主人公が身分を隠して家に戻る | (13)家への到着 |
(24)にせ主人公の主張 | (14)ニセの主人公 |
(25)主人公に難題が課される | |
(26)難題の実行 | (15)困難な試練 |
(16)損害の償い | |
(27)主人公が再確認される | (17)主人公であることの再確認 |
(28)にせ主人公あるいは敵対者の仮面がはがれる | (18)仮面をはがされたニセ主人公 |
(29)主人公の新たな変身 | |
(30)敵対者の処罰 | (19)敵対者の処罰 |
(31)主人公の結婚 | (20)結婚 |
物語論(ナラトロジー)参照。
これらのいわゆる各要素が全て欠如しているならば、一般的にTRPGではないとさえ言える。
意志決定がそれを傍観する立場において、このお約束――演技のサブセット――と言っても良いものが傍観を許してくれる。
異論は多いだろうけれど、TRPGを意志決定論で捉えて、病気や災害に予測外の不運にあわないというのは、ユートピア幻想かとも思う。
物語論で触れられているものは、――演技のサブセット――のなかにある規則であって、やはりTRPGは物語をゲームで囲ったものだと思います。これらはなくても「ゲーム」があれば遊べますが、欠ければTRPGではない。
味噌を溶いただけのシロモノになります。