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GameDesign 西部劇TRPG開発日誌

[SYS]メタゲーム論02

[TRPG]なりきりプレイを善悪二元論から解放する。

で、



伏見先生のツイートから。

@pumiminpumimin
TRPGにおいて、戦闘は正しくシェアできる自己表現の手段なのだな、と思う。やはりコドモーズは僕にとっては単純な確率論的なダイスの振り合いでしかない戦闘をすごく面白がれる。僕はもう面白くはない、外してしまいたい、ぐらいに思っているんだけど、他の者にとってはそうではない。

 について、

 ロール・プレイは、他の人々の立場やパーソナリティという点から「憶測し直すこと(Second-guessing)」が特徴で、他のゲーミング・シミュレーションとの大きな違いだと僕は指摘します。
 TRPGはこの要素を引き継いでいます。

 として、感情移入論へと展開しています。
 と同時に、コミュニケーション論と遊び論についても自分なりに考えてきました。

[TRPG]TRPGの宿命。

「補論: 二 教育学から数学まで 2 数学的分析」には、ゲーム理論についての遊びへの適用の全く正当な反論が述べられており、僕もカイヨワ氏と意見を一致する。数学者がカードゲーム程度の確率を求めたり、意志決定論を述べたとしても、人間は遊びに合理的選択を強制されては楽しめない。

[コミュニケーション]社会学のアプローチ1

[TRPG]「遊びの現象学」を読んで。

 別の切り口として、プラクシス・実践の次元の意味で、TRPGのなかでほとんどに成立しているメタゲームは、GMが無限兵力や無限財力を持っているとしても、戦闘システムばかりであるということです。

 戦闘システムはイベントドリブン方式(多くの場合)です。

 ほぼペトリネットで表現できます。ペトリネットは、戦闘システムにかぎらず、イベントドリブン方式の次のような性質を持つシステムを表現できます。

発生の仕方 …非同期性

相互関係 …並行性(同時進行性)、干渉、先行関係、競合
 


 

実例ペトリネット : その基礎からコンピュータツールまで

椎塚久雄著

本書は、ペトリネットの実際的な応用を目指した入門書である。

「BOOKデータベース」より

[目次]

  • 1 ペトリネットへの誘い
  • 2 離散事象システム
  • 3 モデル化と解析の基礎
  • 4 時間および確率ペトリネット
  • 5 ネットインバリアント
  • 6 生産システム(FMS)のモデル化
  • 7 カラーペトリネット
  • 8 ペトリネットツール

「BOOKデータベース」より


 この本は非常に難解ですが、応用としては最適です。

 翻って、ロールプレイパートは原則としてリアルタイム・バイ・コミュニケーション方式です。
 イベントドリブン方式は多くのゲームに見られるものですが、なぜ、TRPGが勝敗のないゲームでいられて、メッセージ性や物語性を積み込めるのかという疑問へのこれが一つの答えだと思います。

 正しくシェアしにくいのは、コミュニケーションが未熟か失敗しやすいからでしょう。

 戦闘になると、イベントドリブンでサイコロと数値管理だけのコミュニケーションしかしなくていいのです。正しくシェアしやすい。

 因果関係というエンゲージメントのホームレンジ(生活圏)でしか、ゲームはメカニズム(イベントドリブン)として成立できないことは、ゲームデザイン上、痛感します。

 対して、TRPGは、コミュニケーションテリトリー(やりとりのなわばり)に非常に大きく及びます。ゆえにデザイナーが想定していないプレイが楽しまれているのでしょう。

 [SYS]戦闘システム論からTRPGの物語論。

では、僕はこう考えました。

 思うに、このTRPGの限界からして、サバイバルゲームのような、本当に非直線的(同時手番)なゲームという範疇とは、異なると思います。そしてそのようなゲームは、目的の達成感を強烈に持つのだとも。サバイバルゲームの雑誌の記事と取材されるゲームプレイ自体は、とても連続整合のある物語性をもつとはいえません。もしこのようなものに、物語性を求めるとしたら、ヤラセか、記録メディアを通した映画撮影に近いものに、リアルタイムではできないエディットを施したものになります。

 TRPGの展開は、選択肢と呼びうるかもしれない、一軸基底の『解釈とその超出』にあって、追跡するとすれば直線的(逐次手番)で、物語的です。エディットは常に介在しています。それでも展開の連鎖、プロセスという並び、シークエンスの完成の達成感を持ちます。

 つまり、物語的に面白いTRPGがもつのは、ポーカーや麻雀の「役」揃えのような、組み合わせ的な達成感とすると、物語的につまらない(物語を無視したような)TRPGがもつのは、順列的でいて組み合わせに不都合な「ブタ」のようなものとはいえませんか。
 この特性は、なぜ連続的整合を目指そうとすることが楽しいかという理由になります。


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