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GameDesign 西部劇TRPG開発日誌

[TRPG]ストーリーメーカーを読んで

 大塚英志先生のストーリーメーカーを拝読させていただきました。非常にわかりやすくプロップの考え方を解説されています。


ストーリーメーカー : 創作のための物語論

大塚英志 著

あなたが漠然と抱えているストーリーの種は、どうすれば作品として結実させることができるのか?神話や民話の構造分析から導き出された物語論を概観し、30の質問に回答していくことで物語のプロットを作成する。ベストセラー『キャラクター小説の作り方』『物語の体操』をさらに発展させた、超実用的創作入門。

「BOOKデータベース」より

[目次]

  • 第1部 創作のための五つの物語論(物語の基本中の基本は「行って帰る」である-瀬田貞二『幼い子の文学』
  • 物語を構成する最小単位とは何か-ウラジミール・プロップ『昔話の形態学』
  • 英雄は誰を殺し大人になるのか-オットー・ランク『英雄誕生の神話』
  • 世界中の神話はたった一つの構造からなる-ジョセフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄』
  • ハリウッド映画の物語論-クリストファー・ホグラー『神話の法則』)
  • 第2部 ストーリーメーカー-30の質問に答えてあなたの物語をつくる(主人公の内的な領域を設計する
  • 物語の構造を組み立てる)

「BOOKデータベース」より

 G.ロダーリのものは過去記事のここで触れています。Grammatica della fantasia. Introduzione all'arte inventare storie, (『ファンタジーの文法』窪田富男訳、筑摩書房)は、1973年に発表されています。ジョーゼフ・キャンベルはThe Hero with a Thousand Faces(千の顔を持つ英雄)を1949年に出版、C.ボグラーは、G.ロダーリの著書を参照したかどうかはわかりません。
 G.ロダーリの方が一歩早く、創作や教育に応用することを試み、C.ボグラーは、スター・ウォーズ以降ですから1977年以降での展開でしょう。
 この著書の中でウラジミール・プロップの物語の構造を機能ではなく心理学においた構造に対応させる表があるのですが、僕が考える構造では以下のように対応すると思います。

ウラジミール・
プロップのカード

レッジョ・エミーリアでの
G.ロダーリのカード

ヒーローズ・ジャーニー
C.ホグラー

千の顔を持つ英雄
J.キャンベル

(1)留守(不在)

(2)禁止

(1)禁止

(3)違反

(2)違反

(4)捜索(情報の要求)

(5)密告(情報入手)

(6)謀略・策略

(7)黙認・幇助

(8)加害(もしくは欠如)

(3)加害
(もしくは欠如)

(1)日常の世界

(9)調停・派遣

(2)冒険への誘い

(1)「出立」
冒険への召命

(10)主人公の同意・
任務の受諾

(3)冒険への
拒絶

(2)召命の辞退

(11)主人公の出発

(4)主人公の出発

(5)任務

(6)魔法の授与者
との出会い

(4)賢者との
出会い

(12)魔法の授与者に
試される主人公
(先立つ働きかけ)

(13)主人公の反応

(5)第一関門突破

(14)魔法の手段の
提供(獲得)

(7)魔法の贈り物

(6)仲間・敵対者/テスト

(3)超自然的
なるものの援助

(15)主人公の移動
(空間移動)

(7)最も危険な
場所への接近

(4)最初の境界の越境

(5)鯨の胎内

(8)敵対者の出現

(7')複雑化

(6)「イニシエーション」
試練への道

(7)女神との遭遇

(9)敵対者の悪魔的能力

(8)誘惑者としての
女性

(16)主人公と敵対者
との抗争(闘争)

(8)最大の試練

(9)父親との一体化

(17)狙われる
主人公(標付け)

(10)決闘

(10)神格化

(18)敵対者に対する勝利

(11)勝利

(19)発端の不幸
または欠如の解消・回復

(9)報酬

(11)終局の報酬

(20)主人公の帰還・帰路

(12)帰還

(10)帰路

(12)「帰還」
帰還の拒絶

(21)追跡される主人公

(13)呪的逃走

(22)主人公の救出・脱出

(14)外界からの救出

(23)主人公が身分を
隠して家に戻る
(気づかれざる帰還)

(13)家への到着

(15)帰路境界の越境

(24)にせ主人公の
主張(偽りの主張)

(14)ニセの主人公

(16)二つの世界の
導師

(25)主人公に難題が
課される

(26)難題の実行(解決)

(15)困難な試練

11.再生

(17)生きる自由

(16)損害の償い

(27)主人公が再確認・
認知される

(17)主人公であることの
再確認

(28)にせ主人公
あるいは敵対者の仮面が
はがれる(露見する)

(18)仮面をはがされた
ニセ主人公

(29)主人公の新たな変身

(30)敵対者の処罰

(19)敵対者の処罰

(31)主人公の結婚
(ないし即位)

(20)結婚

12.帰還



ウラジミール・プロップの機能(ファンクション)カード

原則1 民話の恒常的で不変の要素は登場人物たちの機能である。この場合それぞれの機能がどんな人物によって、あるいはどんな方法によって為されるか、ということとは関係がない。

原則2 魔法民話の中に出てくる機能の数には限度がある。

原則3 機能の継起順序は常に同一である。


 

すべての民話にすべての機能があらわれるわけではなく、筋運びで省略、併合、統合がされる。はじまりの機能は途中からという場合もある。抜かした経過を取り戻すために後戻りすることがある。機能にはその反対の場合を含むこともある。


 この原則を、平易な理解を助ける解説中に挿入されてありますが、明確に掲げていないので、ちょっと混乱される方がいると思います。

 日常・非日常の往来を論じていますが、「らきすた」や「じょしらく」のような日常とは言えないような非日常の中での完結もあります。「まどか☆マギカ」のようなイニシエーションによって非日常(世界・宇宙)へ旅立ったまま完結するものもあります。「翠星のガルガンティア」のように非日常(戦い)が日常へ完結するものもあります。日常・非日常の概念によるレッテルは、ちょっとコミットできないと僕は思いました。

 西部劇も他のどんな物語にもプロップの構造があるということには、僕は哲学科の学生の頃から説得されてきました。TRPGへの応用は、90年から知らせてきました。ナラティブ理解の参考資料としては、全く関係がないかな、と、思いました。

 もう一つ、ロシア構成主義と喧伝していることが全く理解できませんでした。一般的にはソシュールの影響下の構造主義の先駆として捉えます。美学論として展開するならば、そのセオリーも関係するかも知れませんが、独特の位置づけで困惑しました。こういった手引き書にポリティカルなメッセージ(スターリン批判)を盛り込むのはおかしいと思います。



神話の法則 : 夢を語る技術 : ライターズ・ジャーニー  5

ボグラー クリストファー<Voglar Christopher>;講元 美香【訳】;岡田 勲【監訳】

シナリオ・テクニックの世界的なベストセラー!「ライターズ・ジャーニー」日本語版。本書は心理学の巨匠カール・G・ユングと「ヒーローズ・ジャーニー」のジョーゼフ・キャンベルの深遠なるコンセプトを発展させた人生という旅のガイドブックでもある。

「BOOKデータベース」より

[目次]

  • プロローグ 旅の準備
  • 第1章 マッピング・ザ・ジャーニー(旅の地図)(プラクティカル・ガイド(実用書)
  • アーキタイプ(元型) ほか)
  • 第2章 ステージ・オブ・ザ・ジャーニー(旅の舞台)(オーディナリー・ワールド(日常の世界)
  • コール・トゥ・アドベンチャー(冒険への誘い) ほか)
  • エピローグ 旅を振り返って(愛に溺れて:『タイタニック』
  • メイン・ストーリー:日常の世界 ほか)

「BOOKデータベース」より


千の顔をもつ英雄  上

ジョゼフ・キャンベル 著 ; 平田武靖, 浅輪幸夫 監訳

[目次]

  • プロローグ 原質神話
  • 第1部 英雄の冒険(出立
  • イニシエーション)

「BOOKデータベース」より


千の顔をもつ英雄  下

ジョゼフ・キャンベル 著 ; 平田武靖, 浅輪幸夫 監訳

[目次]

  • 第1部 英雄の冒険(帰還
  • 鍵)
  • 第2部 宇宙創成の円環(流出
  • 処女出産
  • 英雄の変貌
  • 消滅)
  • エピローグ 神話と社会

「BOOKデータベース」より


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