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GameDesign 西部劇TRPG開発日誌

ローカルルールの問題


成長系TRPGの問題

 成長系TRPGはどうも苦手です。

 あるとき、新規参入のPLの扱いに難儀しました。

 「TRPGの上達はTRPGをやった時間と経験だろ!PCが強すぎて何が悪いの!」と、熱弁されたことがあります。
 「でもそれはPCのデータではなくて、紙に記録しなくてもTRPGユーザにしっかりと含まれているよ」

 との、やり取りをした覚えがあります。

 ルールの読み込みを大切にしているサークルにいたのですが、誤植や解釈の漏れ、特にTORGの山北ルール?とよばれるものにこだわっていました。

 ハイロードたちよりスペックの高いPCが、作りたてのPCと併存していて、ラリー・ニーヴンの「魔法の国が消えてゆく」ほどの差があって、作りたてのPCをどうするか。作りたてに合わせるか、ハイレベルな方に合わせるか、悩みました。チートしているゲーマーとしないゲーマーの対立に近いです。



 成長系TRPGの一つ、TORGのように、世界上の成長に対するリミットが、ないのはマズイです。PCが年をとっていかなかったり、ライフイベントがなかったり、ちょっとおかしい。
 ある程度まで成長したら「王子様とお姫様は幸せに暮らしました」というふうにエンディングは、成長ものには用意するべきです。

 例えば、TORGでセル・アーネイ女王とイイトコロまでいったとか、密約があるとか、PLが説明しても、そもそも、そのキャラはもちこむなよ~と、ツッコミたくなります。
 そういう経緯を説明するような記録、そのくらい残してくれれば生かせますが、そういうコメントが出る時点で親しい仲だからゆえの・・・というものがあるのでしょうが。閉口します。

 
 
 
 

 成長系TRPG、とくにワールド付属のものには、GMがスイッチすることを考えたデザインが必要だと思います。ワールドのキーパーソンとの関係をどうするか。
 PLの思い入れを壊したくはないし。

 GM間でPC情報共有なんて、現実的ではないでしょうね。

 PLに経験値が入る方式でも、単なる殉職対策に過ぎない扱いで、キャラクターは固定していたほうが有利だったりします。PLに経験値が入ったら、消費するような形式が、多分おかしいと思います。PCが財物のようになってしまいます。

 できれば、PC作成には、時間をかけないで、インスタントに作成したい。

遊び込み派とローカルルール寛容派

 個人的見解では、TRPGユーザーは、一個のルールのつめこみ派と、多彩なもの大好き派で分かれます。
 たぶん、初期のD&Dからのスタートか、マイナーなT&Tやクトゥルフからかとかで、流儀の違いが出てきたのと一緒だとおもいます。

 旧ソードワールドひとつでも、この二派は遊び方に違いがあって、ちょっとした齟齬を生んでいました。互いに、反りが合わないので、コンベンションでは、GMの評価は二分する極端なアンケート結果が多かったのです。
 具体的には、ルール通りに厳密に、短剣が与えられるダメージを限定するとかしないとか、眠っているエネミーに命中判定をするとかしないとか、ですね。

 T&Tで、セル=アーネイ世界なんかを舞台にすると、最近はPCのT&Tのエミュで、ソロアドベンチャーのノリで臨む人がいたりする。

 思いますに、雑誌「ウォーロック」の洗礼は、大きかったと思います。
 T&Tの「トロールの言葉」に大きく影響されたんじゃないかな。

 
 

 

 

1 トロールの言葉

 (略)私たちが(想像の中だけにせよ)ちょっとの間、簡単な世界に遊びたいと思ったとき、ファンタジー・ロールプレイはそれをかなえてくれます。このゲームでは、私たちは、ほかのエンターテインメントでは得られない、自分自身が参加する物語に出会います。そのため、『トンネルズ&トロールズ』ではみんなが積極的に想像力をはたらかせる必要があります。決して自分が作ったものでもない世界で、ルールに奴隷のようになってはいけません。この本にはたくさんの「ルール」がありますが、次のことだけは覚えておいてください。こうしたルールは、いちど使ったものを、何なら何までさがして作りなおす手間を省くためにあるのです。ゲームをもっと自分の好みに合うように変えたい部分があれば、べつにためらうことはありません。「正しい」、あるいは「まちがった」遊び方というのはありません。ただ、こうしたらいいなという提案があるだけです。  


 D&Dのコンセプトは「遊び込む」タイプで、ルールの穴をできるだけ埋めていこうという印象があります。
 一方、T&Tのコンセプトは、ルールを穴だらけにしておいて、ユーザーが臨機応変に埋めていく印象があります。
 D&Dはコマーシャルモデルになっていて、正規のルールが「建前」ですよね。
 T&Tはローカルルールがあることが前提です。

 シミュレーション・ゲームからして、初期設定をいじって遊ぶのは常套というか、そうしないと遊べなかったです。必ずウォーゲームでは戦勝国は勝つようににシナリオがあったものです。

 ローカルルール万歳!という人と、深刻に公式ルールを問い合わせてくる人の違いは、このへんの事情に疎いんだと思います。卓を囲むたびに、メンツしだいで僕のように気が重くなる人がいるんだろうなあ。

 あるTRPGメーカーのTRPGには、キャラクターテンプレートに年齢が決まっているのですが、25歳のところを6歳にしていいですか? というような問い合わせが来るそうです。いちいち問い合わせなくても、黙ってそういう改造をすればいいのに、誰が責めるというのでしょうか。
 もしや、コミュニケーションの障害でも持っているのでしょうか。でもおそらく、このへんの事情を存じない方が多いのか、カードゲームの厳密なルールあたりに縛られているのか、と、思います。

 ローカルルールはコマーシャルモデルとしては最低だけれど、商品にリスペクトする点では、大いに歓迎されるもの。変な誤植や記載ミスによらないことは前提として。


 初期の新和の同人誌狩りは、その流れにちょっと影響したかもしれないですね。

参考
法律学者のTRPG


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